PANCRASE興行

前日計量からバタバタしたPANCRASE興行だが、当日は気持ちを切り替えてリングドクターの仕事を全うした。



クリスMANの試合の相手と、三浦選手の試合の相手は、前代未聞の敵前逃亡。

前日計量後、試合当日の朝を迎えることなく、自費でアメリカに帰国した。

もう、笑うしかない。 一体、何なんだ? 
議論の余地もない。


アメリカ人とか、外国人とか、旅行とか、プロ意識とか、スポーツMMAとか... それをキーワードに語りたい事は山ほどあるが、そんなレベルの話しではない。
個人の”人として”の問題だと思う。

逃げるなら来るな。来るなら逃げるな。戦え。 命かけたプロファイターだろ!


自分は、世界にしがみつくPANCRASEとジャパニーズMMAのために、一生懸命やっている事を胸を張っていえる。だから、もう、追いかけるのはやめよう。時間の無駄だ。


そんな怒りが今の心中。




そんな中、PANCRASEは興行主として、即座に反応してくれた。

酒井代表がケージに上がり、ファンと三浦選手とクリスMAN、そしてMMAの世界に謝罪した。

そして、永久追放の処分と、今後の再発防止を約束した。
何だか、プライドが保て、気が休まった。


逃げた...っていう、笑い話にしてほしくなかったから、毅然とした対応に安堵を覚えた。


二度とこんな奴らに時間を取るのはやめよう。  僕らは上を見ていこう。

そんな気がした。



そんな中、失意のクリスMANは、キャラクターを押し通し、クリスらしくパフォーマンスをしていた。 クリスもプロになったな。





神妙な雰囲気の中、”最後に一言”と再びマイクを持ったクリスMAN。

自分の気持ちを代弁し、

”PANCRASEを舐めんなよ!!”

という言葉を確信していたが、そこで出た言葉が、

”イエス、クリスMAN!!”


だった。ドン引きの会場の中、怒りの気持ちが癒え、笑えた。 座布団一枚持っていかれた(笑)。

でも、ここは、ノー!!  だよ。



試合の方は、今回もいろいろなストーリーがあった。

そして、大変盛り上がったいい興行だった。


ドクターとしては、試合前健診がようやく根付いて、病状を把握したうえでの試合中の観察なので、安心できるようになってきた。


また、リングドクターも常時5人体制になり、マンパワーの問題も解消できて来た。
外科、脳神経科、整形外科、眼科。 

起こり得る疾患に対して、専門家が集結し、集学的に判断や処置ができるようになった。

そんな集団、チームを結成できたことは、チーフドクターとしては嬉しいものだ。


皆さん、お疲れさまでした。次の興行もよろしくお願いいたします。








今回の興行では、リバーサルジム横浜グランドスラムの佐藤選手が出場した。
自分は、試合前から試合後まで、選手の求めにできるだけ応じ、できる限りのことをしてきた。
それが当たり前だと相手に伝わり、何度も空しい思いをしてきた。


それぞれ心の伝え方はあるが、佐藤選手は必ず、自家製の絵葉書を作って感謝の表現をしてくれる。
些細なことのようだが、こういう選手は今までいなかった。
そして、自分も、他人への感謝の気持ちをこういう形で表現できるようになりたいと勉強させられた。
今回は残念ながら負けてしまったが、こういう選手は強くなると思う。心が。

これからも応援するので頑張ってください。

そんな、今回の興行で感じた事。  また一ついい経験をさせてもらった。