小池秀信引退試合
土曜日はDEEP。
いつもと違うDEEP。 というのも、この日はGRABAKAの小池秀信選手の引退試合があった。
小池選手とは、ここ数年で大接近。 自分が”メタボ親父”になりかけた頃から、パーソナルトレーナーとして”メタボ解消”に尽力してくれた(笑)。東京マラソン完走にも尽力してくれ、先日は富士登山もした。
そんな小池さんがレフェリー業に専念し、グローブを置くことを決意してからこの日の引退試合を自分なりに模索した。
釧路出身の同郷の同級生で、無二の親友・佐々木有生選手との、”まさかのあり得ない試合”を実現するため、自分なりに努力してDEEPの佐伯代表、GRABAKAの菊田総帥に懇願した。
そして、約一年がかりで実現した
”武蔵村山さいとうクリニック提供試合”。
深い思いで会場入りした。
そして自分は小池選手のセコンドに指名された。
リングドクターは数えきれないほどやっているが、セコンドや入場など”選手側”に付くのは約20年の歴史の中で初めてだった。
いつもの会場、いつも見ているメンバーでも、反対側に立つとこうも違うか...と思えるほど、新鮮に見え、初めて見える光景。
刺激的な時間だった。
控室では、思っているよりリラックスをしていた選手達。この試合用のポロシャツが映えていた。
入場待ちでは、今までの集大成を出そう...と心に誓い、瞑想する小池選手。そして、付き人の愛弟子は、すでに号泣していた。
長く深い付き合いの、映像・吉田君が作った、最高の作品である煽りVTRでは、上京前の二人が映し出され、涙を誘った。
同時に、反対側の待機スペースから、佐々木選手の叫びが聞こえた。
最後の試合の入場で、小池選手とともに入場し、セコンドに付いた。
もちろんセコンドでも、全く何もできない、ただ居るだけのセコンドだった。
パウンドで殴り倒すことを選ばず、極め技で大怪我させることを選ばず、チョークで失神させた佐々木選手。 愛情が詰まった試合、そして結果だった。
そして、大親友に意識を飛ばされた小池選手。 目いっぱい頑張ったと思う。
試合後の両者の抱擁が、涙を誘った。
10カウントは、選手の終わりと、次への出発。
断髪式や10カウントは、戦う者にとってのけじめである。
仲間に胴上げされる姿も、何だか誇らしく、悲しみは全くなかった。
本当にたくさんの仲間やファンに労われていた。
打ち上げは、愛弟子や同僚とともに笑顔で行った。
この日は、世界チャンピオンの浜崎朱加:浜ちゃんもエキシビジョンマッチに出場し、引退する選手を引き立てていた。
お疲れ様でした。
歳を重ね、時代の流れに振り回され、そしてそれぞれの生活環境が変わると、当然ものの価値観も変わる。
愛情も薄れて、いろいろなものに分散される。
当たり前といえば当たり前だ。
だが、ほんの一点でも深い線で結ばれ、心が通っていれば、いつでも分かり合えるのだ。
同級生でも、実力や実績や通って来た道にかなりの違いがある二人。
15年間、自分を磨き、その集大成で初めて拳を突き合せた二人。
”ありがとう、ゆうき!!”
と、普段と違う呼び名で小池選手が言った時、何だかジーンと来て、二人の絆の深さを実感した。
小池選手、お疲れ様。
佐々木選手、夢をありがとう。
この試合が実現できて、本当に良かった。