PANCRASE興行
昨日は、PANCRASEディファ有明興行。
大晦日まで続く格闘技界だが、PANCRASEはいつもこの時期で年内興行を打ち切る。
一昔前までは、年内最終興行=ism主催興行だったな。 赤コーナーはほとんどが、PANCRASEismの選手だった。
今年も、近藤有己や高橋義生選手がPRIDEに勝負しに行った時のように、大晦日にはDEEPvsPANCRASEも行われる。
石渡選手やBancho選手... 思い入れのある選手も出陣だ。
今回の興行では、今も昔もPANCRASEのエースである近藤有己が、4階級制覇を狙ってタイトルマッチに挑んだ。
何とも言い難い”現代MMA”のポイントゲームのタイトルマッチだった。
メインイベントを控えた”嵐の前の静けさ”漂うタイトルマッチだった。
結果は、タイトル奪取に至らなかった。
負けた近藤選手が、何だかいつになく小さく見えた。
そんなセミファイナルのタイトルマッチが終わり、メインイベントは入場から雰囲気が一変した。大山選手の応援団が約400人くらい来場したようだ。
本当に、激しく最高級の男の闘いだった。
大山選手の引退試合であったが、そんな温い雰囲気は最初からない。
よく、プロ野球で引退試合のマウンドに立った投手のため、三球三振っていう、おぜん立てをする光景を目にする。
プロレスでも、必ず引退選手が必殺技でピンホールを取る。
自分も、今年の東京ドーム貸切草野球試合で、ピッチャーをやった時、相手の慶応大学チームのバッターが故意(好意に?)三振をしたが、ひとつも嬉しくなく、屈辱的だった(笑)。
そんな、今まで第一線で戦ってきた選手を揶揄する・侮辱する光景など微塵も見られない、理想的な真剣勝負の男の闘いだった。
セミファイナルのタイトルマッチ=現代MMAの最高の舞台の戦い方、と比較ができ、”客を魅了する戦い”と”勝敗に徹するスポーツ”の色の違いが鮮明だった。
自分はどちらも肯定否定はしない。
でも、メインの試合には、胸を打たれたことは確かだ。
大山選手の散り方も格好良かったし、最高の幕引きだった。
相手の桜木選手の戦い方は圧巻だった。 彼は本当に素晴らしい。
前日の傷を背中に背負いながら(笑)、そんなことお構いなしに、バンバン振りまくって、ぐうの音も出ないほどに相手を潰した。自分の怪我のリスクなど、全く考えていない。
本当にすごい。侍だった。
何しろ、自分が思っていた、現代MMA戦士に言いたいことを代弁してくれたかのような試合。そして、大きな大きな大山選手の置き土産。
この試合で、PANCRASEに上がる選手が何を感じたか、何をやっていくのか... それが試されるのが、来年からの世界標準・PANCRASEの舞台だろう。
リングドクターとして、余韻にふける間もなく大山選手の処置に入った。
最後まで節礼を重んじて、治療を受ける大山選手。
大きな傷を見て、ジーンとした。
年下だけど、感心した。
きっと素晴らしい後継者を世に輩出してくれるであろう。
そんな気がした。
そんな、PANCRASE興行だった。