救急隊から得た

昨日、車を運転していると、反対側の車線で、バイクの下敷きになっている男性を発見。激痛で大声を上げていた。加害者は茫然として立ちつくすのみ。

素通りしている人が多い中、すぐに車を止め、乗っかっているバイクをどかし救助。動けない男性を保護し、救急隊到着までつないだ。

ここまでは、医師として当たり前の行為。




そして、救急隊が到着。

”首は動かさないでおきましたから!!”
”脊損の可能性もありますから固定してから動かした方がいいですよ!”
”意識は清明ですよ!”
......


全く目も合わさず、無視。 全然関係ない会話を救急隊員同士で話し始め、取り合ってくれない。

挙句、

”ちょっと、いいから!!””わかりましたわかりました”…

と、抑えられてしまった。

医師です。外科の医師です。 と、何度も言いかけたが、我慢した。

月光仮面や、タイガーマスクらしく、ちょっと格好つけた。

だが、そんな格好つけも今の救急医療には逆効果。

極寒の中、頑張ったが、何だか孤独感、閉塞感だけが残り、善意は突き落とされた気分に変わった。何だかむなしい帰途だった。



今回思ったことは、自分にも反省すべきことがあるという事。自分に置き換えると、同じ遭遇が良くある。

患者さんが、医学知識を並べると、
”釈迦に説法だろ!!”
と、思うくらい、耳を傾けず、排除しようとする。
医学の領域、自分の生きている世界、専門領域には、一切入ってくるな!!と。

そんな自分がいる。全くもって情けない。余裕がないのだろう。追いつかれるのが怖いのだろう。

それならば、もっともっと努力して、先に進めばいいのだ。


今回の一件で、耳を傾けてもらえない患者さんの本意がわかった。自分も反省するべきことが改めてわかった。

相手の立場に立ってものを考える...

大切なことだけれど、なかなか経験しないと考えられないものだ。

今回の救急隊の対応を見て、同じ医療従事者として自分に置き換えて考えた。


やはり、専門性が高ければ高い程、ゆとりをもって接し、追いつかれる焦りなど感じずに日々追究・精進すれば、自ずと対応が変わるのだろう。


明日から、患者さんの立場に立って!!  を、一層努力しよう。


そんなことを感じた夜だった。