Macに育てられた

休み明け初日。とっても充実した一日になった。
7時半からの検査をやって、すぐに外来開始。大原先生とせっせこ外来をやって、ようやく終わった時間がほとんど2時。
そこからオペに入って、3時に何とか終了。
大原先生と交代で昼ご飯を詰め込み、午後の診療...。

地震か火事でも起きる以外は、世の中がどうなろうとも、全く気にすることが出来ないめまぐるしい時間。

医者を満喫できて、素晴らしい1日だった。昨日までの研修中とは時間の速さがあまりにも違った。

そういえば、先週、アップルのスティーブ・ジョブズ会長が亡くなった。とってもショックだったが、こんなことも忘れそうなくらい先週は目まぐるしかった。そこで、Macの思い出を一つ。


初めて、亡くなった祖父に買ってもらったコンピューターが、Macだった。

”医者や教師はみんなMacだよ!!”

とか、訳のわからない話しを聞いて、とりあえず、みんなに追いつきたくて買ってもらった。

マックライト2で初めて文章を打ち始めた。

初めての学会発表もMacでスライド作成。

”大量出血を来した単純性小腸潰瘍の一治験例”

これを、浦和の医師会館?で発表した。
全部原稿を棒読みした。当時だから、”スライドお願いします”まで、原稿に描いた。

質問された時は、このまま逃げ出そうかと思ったが、5秒もしないうちに、一番前に陣取った付き添いの上司が手を挙げ、質問者を一蹴した。

曰く、”敵を返り討ち”だそうだ。

この付添い上司こそ、僕の人生の恩師”小山教授(当時助教授)”だった。

毎日泊まりこんでいたので、アパートにスーツを取りに帰ったが、緊張のあまりスーツの上着を忘れて出発してしまった。怒られたが、舞台に上がった自分にスーツの上着を貸してくれ、小山教授は上着がない状態で敵を一蹴してくれた。何だか、申し訳なかった。
帰りに、浦和で、ウナギを御馳走してもらった。

”浦和のウナギは名物だぞ!!”といわれ、確か、2人前を戴いた。その時に学会の心得を2つ語られた。

1.発表した内容は、必ず、論文にしなさい。
2.学会は闘い。自分の専門領域の話しを聞く時には、一番前に座って、必ず相手をたたけ。  そして、自分を主張しなさい。

今でも忘れない、極度の疲労と、ウナギの味。そして小山先生への感謝。そして、この発表内容が自分の初めての論文になった。

そして、この日以来、毎日毎日いじったMacは、何だかお友達になったような、切っても切り離せないマスコットみたいな存在に変身した。

いまや、iPhoneが当たり前に世に出回っているけれど、スティーブ・ジョブズ会長が革命を起こすまでは、極めてマイナーだったMac。

横道にそれたが、コンピューターの授業などない時代に育った自分たちの教科書、Mac。使いやすくて、故郷の両親のような、コンピューターの原点。
お蔭で、今や自分は”ペーパーレス”の生活をしています。
スティーブ・ジョブズ会長、ありがとう。

そんな気分になってみた。Macはやっぱり永遠だね。

そして、先週、遠隔地に転居する患者さん親子が、わざわざ、転居寸前にクリニックに挨拶に来てくれた。
先生ありがとうございました。このご恩を忘れません...。

と。   こちらこそ、忘れません。涙が出るほど、嬉しかった。お元気で。

お別れは悲しいが、次につながる第一歩。いろんなことを背負って、前に進もう。