弟の旅立ち

埼玉医大第一外科に入局した年の同期7人は、それぞれがそれぞれ、臨床の第一線で頑張っている。一年下の後輩は医局の過渡期と重なり、2人しかおらず、その一人が鳥井孝宏先生だった。その鳥井が、この3月で大学医局から旅立ち、地元三重県に帰ることになった。
先週末、鳥井先生の送別会が思い出の地”福”で、思い出の時間”7時”から行われた。もちろん自分は大遅刻だったが、武蔵村山から診療終了後に意地で参加した。着いた時間は八高線の終電時間を過ぎており、もうヤケクソだった。
もう今や後輩とは思えない外観の”メタボ親父”となった鳥井ちゃん。
でも、顔は可愛く、最後まで僕らの弟分”鳥井ちゃん”だった。

つらいレジデント生活。いつでもどこまでも下働きをやり、病院に寝泊まり続けた日々。オペレーターなのに居眠りをした男、豚の麻酔のスペシャリスト、SSIが必発の男...。数々の伝説を残した。外勤の飲み会帰りに田んぼに落ち、骨折して入院し、バルーンを入れられ、流動食を食べていたこともあった。
本当に可愛い可愛い、弟分の鳥井ちゃん。
最後に、お互いの活躍を誓い合い、涙で別れた。この涙は誓いの涙。僕らはいつまでも”一外”だ。三重県でも胸を張って、堂々と頑張れ。